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ワンちゃん、ネコちゃんの糖尿病について➁(フリースタイルリブレについても)

ワンちゃん、ネコちゃんの糖尿病について①

の、続きです。

今回は、治療目的、管理についてお話します。

【糖尿病治療・管理】

糖尿病の管理の目標は、

・血糖値を尿糖が出ないレベルに安定させる

・低血糖をおこさない

・体重をおとさないように管理する

※ネコちゃんで太っている場合は少しずつやせさせる

ことです。

これによって糖尿病による合併症や体調不良をおこさないように管理する事が大切です。

 

そのためまず大切な事は安定的な「食事」と「運動」です。

 

●「食事」について

「食事」は低炭水化物、高タンパク質のものが好ましいとされています。現在は糖尿病用療法食がいくつかありますので、それを食べてもらうことが好ましいです。

ただ、どうしても糖尿病用の食事を食べない場合は一般食やウェットフード、食べなれた食事で管理します。食事内容や量の変更は血糖値を変動させる要因になるため、同じ内容・量・タイミングを持続できることが一番大切です。そのような食事内容や量、時間をあらかじめ決めて続けていく事が血糖値の安定化につながります。

もちろん併発疾患や基礎疾患によってはこの限りではありませんので注意ください。

 

●「運動」について

また、「運動」の状況もできれば一定に保つ方がいいと言われています。ヒトと同じで動物さんでも運動によって血糖値が下がりやすくなります。急な激しい運動では血糖値が下がりすぎることもあるため運動の量やタイミングも決めておくと尚良いです。運動しなさすぎは逆にインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)にするため、適度な運動は必要です。特に太ったネコちゃんはあまり自発的に運動しないため工夫が必要ですが、食欲は旺盛なため食事の与え方を工夫(複数箇所に分けてあげる、おもちゃに入れて遊びながら食べさせるなど)するとうまくいく場合があります。

 

いずれも決まったもの、量、時間を守る事が大切です。そのため早めに継続可能な生活リズムを設定し、そのうえで血糖値コントロールに必要なインスリンの投与量を決めることが大事です。

 

併発疾患や基礎疾患、生理的な問題によって血糖値が不安定になっている場合もあるため、その他の問題がないかどうか、特にネコちゃんはしっかりと検査する必要があります。

生理的な問題は主に発情によるものです。女の子の発情はとてもインスリンを効きにくくする影響があるため、避妊手術をしていない場合は避妊手術をすることが推奨されます。

 

それでも血糖値が不安定な場合はインスリンの量や種類が生活や体質にあっていない可能性があります。経時的に病院内で採血をし、血糖値の数値や変動を見ることができますが、血糖値はストレスにも左右されるため、現在はあまり推奨されていません。

正確に見るためにはストレスの少ないご自宅で血糖値を測定していただくこともできますが、従来は耳や肉球に針を刺して出血させた血液で測定する方法でした。これも血糖値の測定としては問題ないのですが毎回傷つける方法となるため、飼い主様の負担や動物さんのストレスのかかる方法です。

最近ではヒト用の製品で動物さんの体に設置すると2週間継続的に血糖値を測れる機械(フリースタイルリブレ®)もあり、自宅測定にはとても便利です。

当院でも以前より集中的な管理が必要な動物さんを中心に使用していますが、とても便利です。

ヒト用の製品ということもあり絶対的な数値ではないように思っていますが、どの程度血糖値の変動があるのか、どのタイミングで血糖値が不安定になるのかなどその動物さんでの変動をみるにはとても有用です。ご希望の方は当院までお問い合わせください。

リブレ猫.jpeg

 

以上、糖尿用についてのお話でした。

糖尿病の診察ご希望や、最近痩せてきた、多飲多尿がある場合など、ご相談ください。

糖尿病 2021/12/02