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レムデシビル(remdesivir)のFIP治療について


レムデシビルの治療をより安価に行えるようになりました!

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当院では日本でもいち早く動物用レムデシビルを使用しておりましたが、非常に高価でありコストを考えると少し使用に躊躇する状況でした。そのため重症例でなければ可能な限り内服をご提案しておりました。

しかしながら、FIP発症時には体調がすぐれず内服ができない、薬剤の胃腸からの吸収が良くないなどの問題もあり、開始初期は注射での治療を進めた方がいい子もいます。
また重症例の場合は直接血管から投与したほうが反応が確実で早い可能性があり、命を助けるためには積極的に治療を実施しなければいけない場合もあります。

ただ動物用レムデシビルではいずれも非常に高額な治療となってなり費用面での負担が大きいものでした。


GS試薬から調剤した注射も検討しましたが、自己調剤であり安定的に作成することは困難であること、注射時の疼痛があること(レムデシビルのほうが痛みは少ない)、安定的に試薬を入手できない可能性があることから別の選択肢を考えるべきと方々手を尽くし、レムデシビルのジェネリックを個人輸入することができました。

輸入代理店などを通さず、独自にルートを確保しましたので従来の動物用レムデシビルやMutianなどの注射に比べ安価でご提供できるようになると思います(コストはおおよそ1/4:患者の状態や体重によります)。全ての手続きを自分でしないといけないので大変ですが、代行料など諸々の費用がかからず患者様に還元できるようにがんばりました!
安定的な供給ができれば医薬品による世界的にも治療実績のある治療プロトコールを実施でき、より動物に安全で確実な治療がより安価で可能になります。
ただ、治療方法に関しては使用していくなかで治療反応の個体差や猫ちゃんが受け入れられるかどうか、飼い主様が投薬可能かどうかなど様々な要因によると感じておりますので、しっかりと相談の上決定するようにしております。
現在、レムデシビルの皮下注射にはいくつか注意点があるため治療の第一推奨にはしておりません。ご希望の方のご相談は可能です。

現在FIPの治療に関してはさまざまな選択肢が獣医師に限らず提供、使用される状況で多くが飼い主と動物にリスクを追わせてていることは異常と言わざるを得ません。
医療として治療を提供する立場であれば治療の責任は獣医師にあり、リスクを極力少なく、かつコストなどの負担も少ない方法を検討実施できるようにすることが我々臨床獣医師の努めであると思っています。