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犬・猫の不整脈について

心臓病専門外来をご担当いただいております、日本獣医循環器学会認定医の髙智先生より、今回は犬・猫の不整脈について以下、ご説明いただきます。

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今日は不整脈についてお話させていただきます。

不整脈と聞いて、みなさんはどのようなことを想像されるでしょうか?

犬の1分間の心拍数は約60180(大型犬のワンちゃんではもう少し低い傾向)で、猫では約140220回と言われています。人間の1分間あたりの心拍数が約6090回くらいなので、犬では少し高め、猫では人間の2倍以上の心拍数が正常となります。心臓は、この回数の範囲内で、規則正しいリズムで毎日動き続けています。

不整脈とは脈がゆっくり打つ(徐脈性不整脈)タイプと、脈が早く打つ(頻脈性不整脈)タイプが存在します。脈がゆっくりになりすぎても、早くなりすぎても、心臓は全身にうまく血液を送ることができなくなります。

【症状】 

 無症状で経過することも多いですが、不整脈の種類によっては、重度の場合、運動を嫌がる、ふらつき、失神、および突然死などの症状を引き起こすことがあります。

 また、無症状だからと不整脈を放置してしまうと、不整脈が原因となる心筋症(頻脈誘発性心筋症)やうっ血性心不全を引き起こして、見つかった時には、病気がかなり進行しているなんてこともあります。

【治療】

 病院での聴診で不整脈が疑われた場合は、心電図検査を実施します。もし、心電図で不整脈が認められた場合でも、全ての子において治療が必要な不整脈だとは限りません。現実には、犬では呼吸に合わせて心拍数が変動する呼吸性不整脈が認められますが、その不整脈に関しては治療適応とはなりません。

 不整脈は原因となる病気(膵炎、脾臓の腫瘍、甲状腺の病気など)から2次的に起こることも多いので、その原因疾患の検査および治療で改善することもあります。

 明らかな全身的な異常が見つからなくて、心臓を原因とする不整脈だと診断し、なおかつ動物に不整脈が原因となる症状が認められている場合には、薬による抗不整脈治療が始まります。しかし、不整脈の種類によっては薬ではなく、電気的除細動やペースメーカの植込みが必要となる場合もあります。

 

【先生からのメッセージ】

今回は不整脈についてお話しました。

人間であれば不整脈の症状として、「脈が跳ぶ」や「胸の痛み」などを自分の口で伝えることが出来ますが、犬・猫は自分でそういった症状を伝えることが出来ません。「最近少し疲れやすい」「最近少し動くとふらつく」など、不整脈からの症状かもしれないと気になられたご家族様は、ぜひ一度、かみよし動物病院の心臓病外来へご連絡ください。