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心臓病専門外来(循環器科)

犬の動脈管開存症について

心臓病専門外来をご担当いただいております、日本獣医循環器学会認定医の髙智先生より、今回は犬の動脈管開存症について以下、ご説明いただきます。

 

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犬の動脈管開存症について

 

 今日は犬の生まれつきの心臓病である動脈管開存症についてお話させていただきます。

 動脈管開存症は、大動脈弁下部狭窄症や肺動脈狭窄症と並び、犬の生まれつきの病気のうち、比較的多く認められる心臓病です。

聴診において特徴的な心雑音が聴取されるため、初めて動物病院に訪れた際に偶然見つかるなんてことも多い心臓病です。動脈管開存症はオスと比較してメスに多く、マルチーズ、トイプードル、チワワ、キースホンドなどの犬種によく認められます。

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犬・猫の不整脈について

心臓病専門外来をご担当いただいております、日本獣医循環器学会認定医の髙智先生より、今回は犬・猫の不整脈について以下、ご説明いただきます。

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今日は不整脈についてお話させていただきます。

不整脈と聞いて、みなさんはどのようなことを想像されるでしょうか?

犬の1分間の心拍数は約60180(大型犬のワンちゃんではもう少し低い傾向)で、猫では約140220回と言われています。人間の1分間あたりの心拍数が約6090回くらいなので、犬では少し高め、猫では人間の2倍以上の心拍数が正常となります。心臓は、この回数の範囲内で、規則正しいリズムで毎日動き続けています。

不整脈とは脈がゆっくり打つ(徐脈性不整脈)タイプと、脈が早く打つ(頻脈性不整脈)タイプが存在します。脈がゆっくりになりすぎても、早くなりすぎても、心臓は全身にうまく血液を送ることができなくなります。

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猫の心筋症

心臓病専門外来をご担当いただいております、日本獣医循環器学会認定医の髙智先生より、今回は猫ちゃんの心筋症について以下、ご説明いただきます。

 

本日はネコで最も多く認められる心臓病である心筋症についてお話したいと思います。

 トップ画像は肥大型心筋症により重度に心臓の筋肉(心筋)が分厚くなってしまったネコの心エコー画像です。

 心筋症とは心臓の機能障害を伴う心筋の病気の総称であり、WHO/ISFC(世界保険機構/世界心臓連合)合同委員会により、肥大型心筋症、拘束型心筋症、拡張型心筋症、不整脈源性右室心筋症、分類不能型心筋症の5つに分類されます。その中でもネコで最もよく認められるのが肥大型心筋症です。
 この病気の病態は、肥大した心筋による心室の拡張する機能の低下とそれに伴う心室の内腔の狭小化による心室充満の不良です。また心筋の肥大による心筋の酸素要求量の上昇と血管の圧迫により心筋虚血を生じます。

 メインクーン、ペルシャ、ラグドール、アメリカンショートヘアー、スフィンクス、雑種に多くみられ、メインクーンとラグドールではそれぞれ特定の遺伝子(ミオシン結合タンパクC)の変異により発生することが証明されています。
その中でも、メインクーンやスフィンクスは他の品種と比較して若齢でも発生する可能性があります。

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犬の僧帽弁閉鎖不全症

心臓病専門外来を担当いただいております、髙智先生から心疾患についてブログで以下、ご紹介いただきます。

 

今日は多くのワンちゃんに認められる僧帽弁閉鎖不全症という心臓病について説明したいと思います。

僧帽弁閉鎖不全症は、全ての犬種に見られますが、特にマルチーズ、シー・ズー、ポメラ二アン、チワワ、プードル、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザーなどの主に小型犬に発症率が多いと言われています。高齢になると発生しやすく、ワンちゃんの心臓病の中で約80%を占めると言われている発症率が高い病気です。年齢の統計では16歳ですと75%のワンちゃんが発症していると言われています。

キャバリアキングチャールススパニエルだけで見ると、1歳の時点ですでに33%がこの病気を持っており,4歳以上では60%にまでのぼります。

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