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犬の動脈管開存症について

心臓病専門外来をご担当いただいております、日本獣医循環器学会認定医の髙智先生より、今回は犬の動脈管開存症について以下、ご説明いただきます。

 

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犬の動脈管開存症について

 

 今日は犬の生まれつきの心臓病である動脈管開存症についてお話させていただきます。

 動脈管開存症は、大動脈弁下部狭窄症や肺動脈狭窄症と並び、犬の生まれつきの病気のうち、比較的多く認められる心臓病です。

聴診において特徴的な心雑音が聴取されるため、初めて動物病院に訪れた際に偶然見つかるなんてことも多い心臓病です。動脈管開存症はオスと比較してメスに多く、マルチーズ、トイプードル、チワワ、キースホンドなどの犬種によく認められます。

【症状】

 動脈管開存症の患者さんは初期の段階において、明らかな症状を示さないことも多く、飼い主さんが異変に気づくことが難しい心臓病です。しかし、動物病院において確実な聴診を実施すれば、疑うことが難しい病気ではありません。

飼い主さんによっては、

・寝ている時などの静かな環境における心臓音の異常

・同居のワンちゃんと比べて運動が疲れやすい

・息切れ

・虚脱

・発作

などの理由で、動物病院を受診されることがあります。

 

【治療】

 動脈管開存症は多くの場合、根治治療が可能な心臓病です。

治療されない場合は約70%の症例が18カ月以内に左心不全で死亡、また早期に治療された場合は治療されなかった場合と比較して非常に予後が良く、平均寿命をほぼ全う出来ることが報告されているので、診断され次第、出来るだけ早期に治療すべき心臓病です。

 動脈管開存症の治療方法には、開胸下で直接動脈管を結紮する手術やカテーテルを使用して動脈管の中にコイルやACDO(Amplatz® canine duct occluder)などの専用の詰め物を使用することで、動脈管を閉鎖する手術などがあります。

 それぞれの手術方法におけるメリット、デメリットはありますが、カテーテルを使用した手術の方が開胸下での手術と比較すると痛みも少なく、入院日数も短くなり、動物に優しい治療であると僕は考えているため、カテーテル治療の条件を満たす子に関しましては、第一にカテーテル治療をお勧めしております。

 

【先生からのメッセージ】

今回は犬の動脈管開存症についてお話しました。

動脈管開存症は、早期の診断および適切な治療で元気な生活を送れるようになる可能性の高い心臓病です。

おうちに子犬を迎えられたばかりで、今回の記事を見て、「他の病院で大きな心雑音があると言われた」や「見た目は元気だけど、うちの子は大丈夫?」など、何か気になる旨がございましたら、ぜひ一度かみよし動物病院へお問い合わせください。