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太っていると寿命が短くなる?!驚きの調査結果について

中年齢で太っているワンちゃんは、最大2.5年寿命が短くなる可能性がイギリスのウォルサム研究所の分析結果から示唆されました。

調査の対象になったのは、日本でもお馴染みの犬種を含む12犬種(アメリカン・コッカースパニエル、ビーグル、ボクサー、チワワ、ダックスフント、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ピットブル・テリア、ポメラニアン、シー・ズー、ヨークシャー・テリア)で、雄雌それぞれで、いずれにおいても、太っている方が寿命が短いという結果が出ています。

では、肥満の動物さんというのは、どれくらいいるのでしょうか。

動物病院に来院する総数のうち、肥満であるとされている割合が犬では約30%、猫で約25%と言われています。また、都会においては約50%の犬や猫が肥満であるとも言われています。(都会において、室内飼いの割合が増えることなどに影響されるため)

 

3頭に1頭、もしくは都会の中では2頭に1頭肥満が見られており、今回の調査結果も他人ごとではないということです。

 

今回の研究をもう少し詳しくお伝えすると、

北米にある900ものバンフィールドグループの動物病院に通院していた5万頭以上の、一般の飼い主様が飼われている避妊去勢済の中年齢の愛犬(上記の12犬種)を対象に、過去の電子カルテの情報をもとに、データを分析した結果を示されています。

 

下表のとおり、いずれの犬種、性別においても標準体型より、肥満のワンちゃんの方が寿命が短くなっています。

 

標準体型と過体重の犬の寿命の違いについて(数値は、寿命の中央値)

 

 

標準体型

過体重

標準体型

過体重

チワワ

16.0

13.9

16.1

14.0

ポメラニアン

15.5

13.7

15.5

13.6

ヨークシャー・テリア

16.2

13.7

15.5

13.5

シー・ズー

14.5

13.8

14.5

13.9

アメリカン・コッカースパニエル

14.9

13.4

14.8

13.3

ビーグル

15.2

13.2

15.3

13.3

ダックスフント

16.4

14.1

16.4

14.1

ボクサー

12.4

11.8

12.3

11.7

ピットブル

13.8

13.0

13.8

12.9

ジャーマン・シェパード

12.5

12.1

13.1

12.5

ゴールデン・レトリーバー

13.3

12.5

13.5

12.7

ラブラドール・レトリーバー

13.3

12.7

13.6

13.0

 

何故この違いが生まれるのかは、今回の研究では明らかにはできていませんが、

論文の中でその理由になり得る可能性をいくつか記載されていました。

     肥満になると標準体型よりも有病率が高い(病気にかかっている割合が高い)ことが寿命に影響しているのではないか。

     体重の状態は、カロリー摂取がどの程度されているのかをはかる尺度の1つであり、多くの生き物(クモ、魚、無脊椎動物、げっ歯類等)では、飢餓状態にならないカロリー制限が寿命をのばすことができることがわかっており、人でも寿命に関連するバイオマーカー(空腹時のインスリンや体温等)がカロリー制限をした場合、減少しているため、犬においても、同様のことがいえるのではないか。

 

という推察でした。

 

「ちょっとくらいぽっちゃりした方がかわいい」「太っている方が健康的に見える」という意見も聞くことがありますが、大好きな愛犬だからこそ長く一緒にいるために、お食事の量を調整したり、お食事の種類を検討してみたり(ダイエット食にする等)おやつの量を考え直してみたり、できる事から対策を練っていきませんか?

当院では肥満対策についてのご相談もお受けしております。やり方がわからない、実際にどうしていけば良いのか、ご家庭に合わせてご提案できればと思いますので、遠慮なくご相談ください。

 

肥満対策については、こちらのブログ↓↓もご参照くださいませ。

http://kami-ah.com/blog/archives/6

 

 

参照)

Association between life span and body condition in neutered client-owned dogs

Jounal of Veterinary Medicine に掲載

肥満対策 2019/02/28